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~インタビュー~ 「MBA」はどのくらい転職に有利?
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国内大手通信会社、移動体通信関連成長企業を経て、ロンドン・ビジネス・スクール(LBS)の新規事業に参画。 1999年同校のMBA同窓生キャリア支援サービス(現Global Workplace)の世界規模ネットワーク化及び法人化(本社ロンドン)に取り組む。 LBSに加え、MIT(マサチューセッツ工科大学)をはじめとする世界18カ国58校の主要経営大学院が共同で運営するMBAホルダー公式キャリア支援サービスへと発展させる。日本においては、2000年に事務所設立後、労働市場の構造的問題によりミスマッチの多かったミドルマネジメントの最適配置とミスマッチ回避のため、戦略の実行に特化したアウトソーシングを行う常駐業務支援事業“The Executive S.W.A.T.”を世界に先駆けて企画。 本部より承認を受けた2001年3月に同事業を中心に法人化(現グローバルタスクフォース株式会社)し、代表取締役に就任。世界最大のMBAフェア「The World MBA Tour」の日本における開催責任者、株式会社ワークス・サポートの社外取締役等を兼務。 ビジネスパーソンのバイブル的ハンドブックである『通勤大学MBA』シリーズをはじめ、 『コトラー教授「マーケティングマネジメント」入門』、『なぜか思考停止するリーダー』など、ビジネスで活用するための基礎となるマネジメント知識が分かりやすく体系的にまとめられた著書が多数。 |
―― WS:山中さんがMBAを取得しようと思われたきっかけについて教えてください。
山中:大学時代の工場見学が全てのきっかけです。
大学時代、工学部の経営工学を専攻していて、「いかに工場の生産性を上げるか?」という大命題の下、テクノロジー中心で実際に工場を回りながら研究をしていました。
当時は皆、数十億、数百億をかけて新たな技術を導入することで、ライン全体の歩留り(故障・事故・問題発生等でラインが止まる率)を0コンマ数%の改善ができるか、というテクノロジー主眼の生産性向上に皆没頭する中で、担当教授から「ロンドンの郊外にあるフォードの工場が、最先端のラインを作ったから見てこい」とお話があり、工場を訪問しました。
実際、工場に入ったとたんに人っ子一人おらず、まさにロボット手動のオートメーションの世界がそこにありました。
「確かにこれはトヨタを超えた。世界一だ・・・」と思った矢先、ブザーの音とともにラインが止まり、従業員の裏リーダーともとれる人が出てきて目くばせをすると、5人ほどどこからともなく人が集まり、ティータイムが始まりました。
工場ガイドに「休憩時間なのですね。」と聞いたところ、怪訝そうな顔で時計を見ながら「い、いや・・ティータイムはまだ先だと思うが・・・・」とバツが悪そうな顔をしていたのです。
結局、それはティータイムでも何でもなく、「ちょっと飽きてきたので、勝手に緊急用の停止ボタンを押していたのです。
その瞬間、完全に自分の中でこれまでのテクノロジーに対する情熱が冷めてしまったのです。
「何十億、何百億かけて、0コンマ何秒の生産性向上に投資をしている一方で、単純な人のマネジメントの問題で、その何十倍、何百倍ものロスを出している」と。
そこから、「テクノロジーの研究は専門の技術者によってどんどんと進化はしていく。しかし、この時代になっても古典的な人のモチベーションの問題、つまりマネジメントの問題をあまりに軽視されすぎている状況は変わらない。マネジメントの質の改善、イノベーションはほとんどなされていない」と感じました。
それがきっかけで、それまでの経営工学という工学的視点からみた生産性向上ではなく、純粋に「経営」という観点から見たマネジメントを学びたい、と思い、MBAを決意しました。
―― WS:実際にMBAコースで学んだ感想はいかがでしたか?
山中:私の場合はMBAに入学後、実地のリサーチの機会があり、途中でPhDのマスター版であるMPhilに転籍したのですが、私の率直な感想をメリット・デメリットに分けてお話します。
まずメリットとしては、「ジャグリングの重要性の認識と、そのスキルの獲得」。
通常の会社の仕事では、「1つの業務だけこなしていれば良い」ということはよほど研究開発やスペシャリスト職以外はないと思います。
とすると、仕事で差が出るのは、いかに仕事のメリハリ(重要な業務は妥協せずとことん深掘りし、付加価値業務以外は以下に効率よくこなすか)をつけられるか、ということだと思います。
つまり、付加価値業務に時間を費やすためには、付加価値はつけられないが、ルーティーンでこなさないといけない業務をいかに(時には許される手抜きをしながら)こなし、付加価値業務の時間を割くか、ということに尽きることになります。
実際、付加価値をつけられないルーティーン業務に時間をかけてしまうことが多々あると思いますが、そこの部分のストレッチを、MBAを通して体験し、スピード感の基準を思いっきり引き上げられたことが最大のメリットでした。
通常MBAでは毎日3つほどケースを学習しますが、予習の段階でそれぞれ3時間ほど準備を行う必要があります。 併せて参考テキストとして、数百ページの文献を1科目5冊ほど指定されます。
普通に全部読もうとすると、それだけで終わってしまいます。
仕事を行う際も同様ですが、リサーチを行う際に、とにかく全部情報を集め、整理した上で結論を出そうとすると1か月もかけてしまいます。
その際、「状況の全体像とポイント」のみ把握し、各シナリオを作った上で、それぞれのシナリオを証明する裏付けデータだけをリサーチすることで、リサーチ期間を10分の1にできます。
MBAでも、欲しい情報のみ文献を探しそれを掘り下げていくことで、英語の苦手な日本人でも、とりあえず本を全部読んでしまうネイティブより適格な結論を導くことができます。
つまり、普通に準備しようとすると、1日ではまるでできないようなボリュームを3時間でこなすやり方を考え、メリハリをつけて仕事を進めることでストレッチを実感できました。
他にも人脈等メリット等挙げられますが、本質的には、自分の「実力」を上げるためにMBAに行くのですから、人脈やMBAという経歴を目的にすると、本当の意味での効果的な自己投資の機会にはならないと思います。
次に、デメリットを挙げるとしたら、「時間の機会損失」でしょうか。
ただしこれも、実力向上という目的とMBAを通じて獲得できるスキルを本気で考えれば、1年や2年の時間は30年以上の長い職業人生から考えると無に等しいと思います。
むしろ「投資」である以上、1秒でも早く投資を実行し、回収期間、つまり仕事で試行錯誤をしながら成果を出すことに長く活かしたほうが良いことは間違いないと思います。
金額的な機会損失に関しても同様です。たとえMBA費用1000万に加え、働いていたら入ってきたであろう収入(仮に1000万とすると)合わせて2000万の投資(機会損失)も、職業人生30年で割ると、たかだか1年70万、月5,6万程度のものです。
30歳前後の人が今、人生の投資回収しようとしても意味がないですよね(笑)。
35~40歳位までは投資の期間と捉え、最終的に活躍し、たくさん稼げるように早い段階で本物の実力をつけるほうが、「早い」のではないでしょうか?
―― WS:MBA取得に、国内・海外の違いはありますか?
山中:学ぶ内容は一緒です。唯一の違いはクラスのレベルのバラつき具合でしょうか?
ケーススタディでは、教授が学校の授業のように、何かを教えてくれる、ということはありません。つまり、クラス全員の発言が授業そのものを作っていき、教授はあくまでファシリテーターに徹するため、クラスのレベルが低いと議論の掘り下げが浅いまま時間が過ぎてしまうことがあります。
ただし、100歩譲ってたとえそうであっても、クラスの中には「見たことのないような優秀な人」がいるものです。その人をベンチマークに、自分の基準を高く、積極的に授業に参加をしていけばデメリットは減らせると思います。
国内優良校でも、入学倍率は2倍前後ですので、入学倍率は10倍以上が当たり前の海外に比べるとバラつきは大きくなりますが、たとえば慶応ビジネススクールでも、ハーバードのMBA生よりも優秀な人は必ずいますので、学校をどこにするかは別としてまず自己投資をする、という意志決定をされると良いと思います。
―― WS:コンサルタント業務の中で、MBAで学んだ中で役立つことは何でしょうか?
山中:まず知識と知恵を明確に区別することが重要だと思います。
MBAの知識というと、数々のフレームワークをはじめとするマーケティングや戦略、財務等の知識を指すと思います。それ自体は「効率的に仕事を進める」という意味では知っておくことは重要ですが、仕事や会社の環境が全て異なる皆さんの仕事で活用しようとすると、それだけでは正しい結論に結びつけることはできないと思います。
知恵にするには、先ほどの話でいう「実力」ではないですが、その定石といわれる各種の経営理論を「今、自分の会社、状況にあてはめるとどうなるか?」ということこそアタマを使って考える必要があります。つまりクリティカルシンキングやロジカルシンキングと言われる「地頭」に近い話ですね。
ただし、実はそれだけでも不十分なのです。そこに自分なりの意志(方針、時には会社の前提となる方針等)を入れる必要があります。
つまり、結局「で、どうすべき?」、「どうしたいの?」という部分がないと、意志決定に結びついてこないのですね。「とりあえず整理しました」というのは単なる作業ですからね。
たとえば、1億円投資して、5年で1千万円しかリターンの無い事業に投資するか?というテーマなどでも、知識だけでは「投資すべきでない」で終わってしまいますが、それでは、ロボットでもできる話です。
たとえ、1億円投資、5年で1千万円しかリターンがない事業の機会でも「投資すべし」となりえる前提・方針はいくらでも考えられるはずです。
「当該事業で赤字でも、それによって本業の拡大につながる場合」、「5年で赤字でも、本業の市場でこれ以上の拡大が見込めない場合」、「黒字の今の段階で新たな分野へ種まき投資をし、10年かけて収益事業に育てたい場合」等々。
理論のみで結論を導くのでも、問題の整理をするだけでもなく、意志決定の提案をすることで、知識が知恵に変わるのではないでしょうか。
―― WS:転職のためにMBAを取りたい、と考えた場合、年齢のリミットはありますか?
山中:基本的にないと思います。投資と捉えると、前述のように1秒でも早く学習したほうが回収期間を長く取れます。
一方で、40歳になっていたとしても、「自己投資をするのとしないのとではどちらが良いか?」と考えると、間違いなく自己投資をしたほうが良いに決まっています。 つまり、若いか若くないかという問題は、28歳で投資したほうが、40歳で投資するよりも、多少効率は良い、という程度の問題だと思います。
―― WS:MBA取得希望者が年々増加していますが、その理由は何だと思われますか?
山中:ズバリ、ビジネスの対象が日本のみならず海外を含めボーダレスになった以上、ビジネスの意思決定のベースとなるロジックの重要性が、好むと好まざるを問わず、少しずつ浸透してきたということだと思います。
―― WS:MBA取得→外資系戦略コンサルタントへの転職、というキャリアパスは、実際に可能なのでしょうか。
山中:現実的には多くのメジャーなファームでは、コンサルタント経験者以外のエントリーはMBAホルダーでも30-32,3歳前後がボーダーだと思います。これは年齢差別というより、基礎を習得してファームにとって回収してもらう時期と社員に支払う年収の見合いだと思います。
つまり、報酬制度そのものが、35歳でリサーチャー(アナリスト)でも、年収1500万円といったものに対応していないということでしょうか。リサーチャーレベルなら20代でできる人がたくさんいますからね。
―― WS:MBAが役立つ職種は他にどのようなものがありますか?
山中:投資銀行のコーポレートファイナンス部門や、事業会社のゼネラルマネジメント職、事業部門・管理部門のキーポジションなどが挙げられます。
―― WS:これからMBA取得を目指すコンサルタント志望の方々へアドバイスをお願いします。
山中:投資の基本は「投資するなら回収期間をとにかく長く、迅速に。リスクのヘッジはその後の運用レベルのお話。」です。
各種リスクヘッジをする前提で、まずは自己投資をするかしないか、この判断をすることからだと思います。たとえば、本当に受かるか?英語が大丈夫か?といった運用の問題はどうにでもなる問題である、つまり、運用レベルでの問題解決ができないとそもそもMBAでもどんな仕事でも成功しない、というのが私の持論です。
まず、一歩踏み出す勇気を持って行動に移し、将来のビジネスリーダーを「今」から目指してほしいですね。
―― ありがとうございました。









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